「屋根ごと吹き飛んだ」──あの光景を二度と見たくない

私がこの仕事をしていると、施主さんからこんな話をよく聞きます。「台風のあと、カーポートの屋根材がアルミフレームごと庭の外に飛んでいた」と。ポリカーボネートのパネルだけでなく、支えているはずのアルミフレームまで一緒に吹き飛んだというケースは、残念ながら珍しくありません。

なぜそうなるか、私なりに見ていると理由は単純です。国内で流通している量販店系のアルミカーポートは、軽さを売りにした商品設計になっています。軽いということは風を受けたときに抵抗できる重さも剛性もない、ということでもある。パネルが外れる前提で「飛散防止」の部材を追加するような製品もありますが、それはそもそも飛びやすいことを認めているようなものだと私は思っています。

スチール折板屋根が根本的に違う理由

私が施主さんにすすめている海外主流のスチール折板屋根カーポートは、構造の出発点がまったく違います。素材はアルミではなく亜鉛メッキの黒い粉体塗装仕上げのスチール角パイプ。柱も梁も太くがっしりとしていて、横から見るだけで「これは動かない」という安心感があります。

屋根材は完全遮光の金属折板です。折板というのは断面がアコーディオン状に折り畳まれた形状で、薄い金属板でも非常に高い剛性を持ちます。軽量のポリカパネルのように風圧でたわんで外れる、という壊れ方をしません。そしてボルトで骨組みにしっかり固定されているため、パネルだけがぱかっと外れて飛ぶという事態も起きにくい。「屋根材が飛んで隣家の車を傷つけた」という二次被害のリスクも、大幅に下がります。

壁付き構造が持つもうひとつの価値──防災の視点から

私が東海地区でもこの構造をすすめる理由が、もうひとつあります。南海トラフ地震の発生リスクが現実味を増している今、頑丈な壁付きのスチール構造カーポートは、住宅本体が損壊したときの緊急避難スペースになりえます。

アルミの既製カーポートは、強い揺れで柱が座屈すれば屋根ごと崩れます。一方、太い鋼材のトラス構造に左官職人が仕上げたモルタル造形の意匠壁を組み合わせた構造は、それ自体が独立した「一棟」としての強度を持ちます。家の中に戻れない状況でも、車を守りながら人も一時的に身を寄せられる空間があるというのは、特に小さなお子さんやご高齢の家族がいるご家庭には、言葉にならない安心感だと思っています。

「後悔しない外構」とは何か

台風で屋根が吹き飛んだ施

私がカーポート選びで一番大切にしているのは、「10年後も後悔しない構造かどうか」という一点です。既製品のアルミカーポートは手軽ですが、台風や積雪の後に後悔する声を何度も聞いてきました。だからこそ私は、スチール折板屋根×モルタル造形の意匠壁という組み合わせを提案し続けています。頑丈さと美しさは両立できます。この記事の内容についてのご相談は、ムージャンアトリエへお気軽にどうぞ。